裏道万屋の事情
教室に入ると窓から外を眺めている樹里の姿があった。

樹里は前にちょっと紹介したあたしの親友。
栗色のさらさらショートヘアーが特徴の可愛い系というよりは美人系の子。

樹里とは中学からの付き合いで、今となっては何でも話せる仲だ。


『樹里ちょーんちょり〜っス!!!!』

「っ!!!!」


あたしが声を掛けた瞬間、樹里は勢い良く振り返ってあたしに凄いスピードで詰め寄ってきた。


「ちょっと菜子!!!!」

『はははははいぃっ??!!』

「あたしずっと見てたんだけど?!」

『な、何を…??』

「しらばっくれる訳?!恋愛に関してからっきしの菜子が、何で青葉のあんなイケメンと仲良く一緒に登校して来たの??!!抜け駆けじゃん!!!!」


うわっ
樹里に見られてたんだ!!

でも、何て説明すれば良いのかなぁ…家が閉鎖されたとこからか??


「一体どーやってあのイケメンと知り合ったの?!ってかいつの間に??!!」


かなりの質問攻めに遭うあたし。
か、勘弁してよ〜〜!!!!


『嵐とは別にそんなんじゃ…』

「…嵐っ??!!そんな名前で呼び合う関係な訳っ?!くっそ超羨ましいっ!!!!」


今のこの人には何を言っても無駄だな……。

樹里はこういうネタが本当に大好きだ。
合コンとかもよく行くらしい(あたしは興味ないから行かない)けど、なかなか理想の男子に巡り合えないみたい。

樹里はあたしなんかより全然きれいだし、もてると思うんだけどねー。
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