俺様姫とヘタレ王子の恋愛事情
こうなりゃヤケクソだ!!
私は数学準備室の扉を勢いよく開けた。
『たのもー!!』
「ひぇっ!!」
『チッ。』
ビビってんじゃねーよ!何コケてるんだよ!このヘタレ教師が!!と心の中で言いながら睨みつけた。
「いと、舌打ちはやめな。後、そんなに睨んじゃダメだよ!小野先生が怖がってるじゃない(笑)」
『うるさい。私が今機嫌が悪いのわかってるでしょ?』
「はいはい。小野先生、ごめんね?大丈夫?」
楓は小野先生に手を差し延べてソファーに座らせた。
『ねぇ、あんたビビリ過ぎじゃない?それでも教師なの?』
「す、すいません……」
小さい声だなぁ、イライラする。
私はいつもどおり数学準備室の扉にもたれ掛かり腕を組んでヘタレを見る……否、ヘタレはソファーに座ってるから見下ろすってのが正しいかな?
「いと、八つ当たりはいけないよ?」
『はいはい、わかりました。』
「謝りなさい。」
あー、楓、怒ってる。
楓が怒ると怖いんだよね…
謝らないと後が怖いし、まぁ八つ当たりの部分もあるから謝るか。
『小野先生、すいませんでした。』
「い、いえ……こちらこそ、すい」
小野先生が謝ろうとしたところで予鈴がなってしまった。
「やっば、いと、教室戻ろ!!小野先生、またね!」
『失礼しました。』
一礼すると小野先生に腕を掴まれた。
そして耳元に顔が近づき私にだけ聞こえるように
「早く俺を思い出して?」
『え?』
小野先生は私の髪に軽く口付けた。
「いと!早く行こ!」
『う、うん。』
私は楓に引っ張られ数学準備室を後にした。