俺様姫とヘタレ王子の恋愛事情
“早く俺を思い出して”
先生は確かにそう言った。
私は先生を知ってるの?
でも私はあんなヘタレな人は知らない。
先生はいつも“僕”なのに“俺”って言ってた。
私の髪に口付けて……
『なんなの?!』
私はあの後ずっと考えてしまって午後の授業は殆ど覚えていないうちに終わってしまっていた。
「いとちゃん、どうしたの?」
『あ、健斗くん…』
「なんか顔が赤いけど、大丈夫?」
『だ、大丈夫!!か、楓!帰ろう!!』
「え?あ、うん。健斗くんバイバイ!」
『バイバイ!』
「うん、また明日ね。」
私は楓の腕を引っ張って教室を後にした。
「いと、どうしたの?顔赤いよ?」
『へ?な、なんでもない!!』
私は頬に手をあてた。
顔が熱い。
先生があんな事するから、いつもと違う喋り方するから……
『……悔しい……』
「何か言った?」
『な、なんにもない!』
楓が風邪と心配するなか大丈夫と言って家に帰った。
なんか今日は観察どころじゃなかったかも……
とりあえず今日の事は忘れよう!!
そうだ、寝て忘れよう!!
『観察五日目終了、乙。そして、おやすみ。』