俺様姫とヘタレ王子の恋愛事情
決勝戦も接戦だった。
けど、後輩さんチームは負けてしまった。
応援していた私も悔しくて泣いてしまった。
「いと、ありがとな。あいつらも頑張ったよ。決勝戦が毎年、全国大会に出てるチームによく粘ったよ。」
『う、うん。がんばったもんね!』
そう言って私は浩兄に涙を拭いてもらった。
「あいつ、凹んでるだろうなぁ…」
『あいつ?』
「一番可愛がってる後輩。今日も頑張ってたからな。」
『そうなんだ…』
私は浩兄と手を繋ぎ、観客席を離れた。
『あの天使様も大丈夫かなぁ…?』
「天使様?」
私は浩兄に翼のお兄ちゃんの話をした。
その時、私は凄くキラキラした目で興奮していたらしい。
「いとが言ってる天使様って多分、俺が一番可愛がってる後輩だよ。あ、ほら。あそこのベンチで凹んでる。」
体育館出て少し歩いた所にある中庭。
浩兄が指差す方向を見てみる。
『あ!天使様!』
「やっぱり、あいつの事か(笑)」
天使様はベンチに座り下を向いていた。
きっと悔しくて泣いているのだろう。
そう思った私は元気づけたくて
『ひろにぃ!天使様の所に行ってきていい?』
浩兄は私がしたい事がわかったのだろう。
「元気づけてやって。」
私はニッコリと笑い、天使様の元へ向かった。