語り話
初恋の人
これは僕が知っている彼女の話。

僕は内気で弱虫な臆病者だった。

先生がよく誰かとペアを組めと言うときに、最後まで誰も出てきてくれない一人ぼっちになるタイプだ。

珍しく声をかけられたかと思えば、いじめの始まる。

恐喝。

リンチ。

罪の擦り付け。

罵倒。

何でもありだった。

救いもなく、居場所もない。

僕は死にたいとすら思っていた。

だけど、僕には一つだけ救いがあった。

それは学校終わった後の家でチャットをするときが何よりの至福の時だった。

僕の唯一の居場所だった。

だけど僕は自分の事は一切語らなかった。

ネット内では部活で活躍している人、恋人のことばかり話す人、頭がいい人、そんな人ばかりだったから。

十中八九、嘘だと思うけれど、僕にはそれをとがめる権利もない。

そんな世界で数人の友達ができた。

一人は水泳部員。

元気で活発な男の子。

二人目はアニヲタ。

明るくて人懐っこい男の子。

三人目は彼女だった。

強くて優しい人。


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表紙・目次

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