語り話
それからは今振り替えって考えてみても、本当にしつこかったと思う。

以前から毎日のように連絡を取っていたが、相手は学生なのだ。

遊んだりバイトに行ったり、授業中だったり。

あの子なりに忙しくて、時間もないはずなのに俺は彼女から返信が数分遅れるだけでイライラした。

この頃の俺は返信が待てず、電話を掛けたこともあったほどだ。

彼氏でもないのに嫌われてもおかしくないのにあの子はいつも笑ってくれた。

俺はそんな彼女に甘えて、そして確実にのめり込んでいった。

そしてついには思い上がって、彼氏立候補までしてた。

そこまでいくと、さすがのマオも笑っていなかった。

「私らまだ本当に会ったこともないじゃん?ちゃんと私を知っているわけでもないんだしさ、止めときなよ」

やけに深刻な声色で喋るマオは俺の知らないマオだった。

「マオの事はちゃんと知ってるよ!優しくてすごくいい子だよ?」

「やっぱナカムーはなんにもわかってない。ごめんね?もう連絡とるのは止めよ?」

「そんなことっ…!」

俺の言葉が終わるより早く電話が切れた。


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