語り話
毎日が灰色になった。

俺はバイト先と家を往復する日々を送っていた。

上の空で働いてミスをおかすことが増えた。

叱られてもBGMのように流れていき、何一つ入っては来なかった。

唯一マオの事を知ることができる情報源、ヲタク女子"リン"にメッセージを送った。

リンは苦々しい雰囲気で俺の質問に受け答えた。

彼女にはいまだに恋人はおらず、俺の事に対する文句を言っているわけでもなかった。

だけど、俺の事を話すこともないらしい。

リンにはいい加減に絡むのやめたら?何て言われる始末だ。

だけど俺は諦められなくて。

それから数ヵ月して、マオから連絡があった。



まだ私の事好きなの?
いつまで待っているつもりなの?



俺には救いでしかなかった。

どんな言葉であれ、彼女自身がマオが紡いだ言葉をもう一度読めることが幸せだった。

もちろん好きだよ!
いつまでたっても俺はマオの事が好きだ!

そう返信すると数分たってマオから返信が来た。

それは俺に対するたったひとつの提案だった。


< 19 / 34 >

この作品をシェア

pagetop