語り話
親友
その人は静かに立っていた。
駅のホームで静かに立っていた。
その人は静かに泣いていた。
まばたきをするように駅のホームで泣いていた。
一筋、二筋流れた涙を当たり前のように右は右手、左は左手でぬぐっていた。
表情は涙を流す前も一切変わらない。
笑顔でもなく悲しい顔でもなく普通の顔。
二粒流れた雫は消えて、その人はホームに流れ込んできた電車に普通に乗り込んだ。
たったそれだけのこと。
たったそれだけのことが当時、小学生だった僕が社会人になっても忘れられなかった。
駅のホームで静かに立っていた。
その人は静かに泣いていた。
まばたきをするように駅のホームで泣いていた。
一筋、二筋流れた涙を当たり前のように右は右手、左は左手でぬぐっていた。
表情は涙を流す前も一切変わらない。
笑顔でもなく悲しい顔でもなく普通の顔。
二粒流れた雫は消えて、その人はホームに流れ込んできた電車に普通に乗り込んだ。
たったそれだけのこと。
たったそれだけのことが当時、小学生だった僕が社会人になっても忘れられなかった。