語り話
僕の言葉にチャットはざわついた。

こんな僕なんかの為に騒いでくれるのが少し、嬉しかった。

でも、そんな中でも僕は彼女の言葉を探していた。

マオ《どうしてやめるの?(´・ω・`)

一番辛い言葉だった。

“やめるなよー”とか“寂しくなるな…”とか別れを悲しんでくれる言葉ではなく、理由だった。

それはまるで僕を攻めているような気がした。

彼女の言葉を筆頭に他の二人も次々と質問してきた。

僕は泣きたくなった。

でもその時、ふと思い出した。

彼らは性悪のいじめっ子じゃない、僕の話をちゃんと聞いてくれる友人だ。

そう思ったとたん、ゆっくりとだが、僕の指が文字を打ち込み始めた。

みんなは静かに僕の話を聞いてくれた。

時折、優しい相づちを打ち、理不尽さに怒り、僕の心を哀れみ、心配した。

僕は認められたような気がするのと反面、なぜか心にぽっかりと穴が開いたような気分だった。

理解してもらえているはずなのに、信用できていない自分がいる。

僕はもやもやとした気持ちに苛立ち始めた。

自分で勝手に信用して全てを打ち明けたくせに。

僕の心は救われなかった。

どうしようもなくて髪をかき乱し、頭を垂れた。



━━ピコン



静かな部屋に似合わないチャットの通知音が響いた。

僕は嫌がる目蓋を開いて画面をのぞき込む。

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