お子様的お坊ちゃま的理論。
「有沢結城さんとお見受けしました。どうぞこちらへ。」


あたしが何も言わないのに、この黒服男は自己解決をしたみたいだ。
そして、あたしの腕を掴む。


「…へ?離せよっ!!」


「こちらへ。」

暴れるあたしにお構い無しに、腕を引っ張る。



「ちょ、ちょっと待って下さい!!」


キヨミが暴れるあたしを掴むその男の腕を掴んだ。



黒服男は怪訝そうな表情でキヨミを見た。


「結城をどこへ連れて行くつもりですか?」



「あなたは、キヨミ様ですね?申し訳ございませんが、お帰り願いますか。」




「そうだよ!!あたしは大丈夫だから、キヨミ逃げて!!」





キヨミはそっと目を閉じ、拳を握りしめた。


「お願いします。どうしても結城を連れて行きたいなら、私も一緒に連れて行って下さい。」



キヨミの深い眼差しがとても印象的だった。
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