誠を掲げる武士
序章



茹だる様な、この蒸し暑さ。


今年もこの時期がやってきて、忘れていた蒸し暑さを思い出させる、今日この頃。


大学から家までの帰り道は、徒歩10分弱だというのに、滝のような汗が流れる。


そういえば、今日の気温は35度とかやったなと思い出して、またげんなりとする。


流れる汗をハンカチで拭いながら歩いていると、ポケットに入れているスマホが震えた。


【帰りにコンビニで明日の朝ごはんのパン、買ってきて(^^)】


毎度ながらの、母からのおつかいの連絡である。


もう少し先にある公園の近くにコンビニがある。


本当なら駅前にあるのだが、もう過ぎてしまった。


ちょっと遠回りになるが、そこに行くしかない。


暑いのに〜、と心の中で地団駄を踏む。


あ、でも、逆に返せばコンビニでアイスでも買って帰れるのか。


なんとも喜怒哀楽が激しい自分の感情である。


公園に近づくにつれて、蝉の鳴き声が大きくなり、それと同時にこの暑さも少しずつ上がっている気がする。


夕方の時間ということもあり、公園の中で遊んでいる子どもは多い。


鬼ごっこ、ボール遊び、遊具遊び、砂遊び。


こんなに暑いのに子どもはなぜあんなにも元気なんだろうか。


つい数年前までは、自分もあんな風だったはずなのに…。



公園を通り過ぎ、コンビニの前の交差点の横断歩道を渡り、コンビニに入った。


自動ドアが開いた瞬間、ヒンヤリとした中の空気が、私を包み込む。


きもちぃ〜、生き返る…。


まず、母に頼まれたパンを手に取り、あとはじっくりと自分が食べたいアイスを品定め。


夏はチョコやバニラ系より、ソーダやカルピス系が食べたくなるなあ。


あ、新商品やて…!


値札の横に【新商品】と赤い字で主張されている、柚子ソーダアイスを手に取る。


帰りのお供はこれに決定である。


それから、ささっとレジを済ませて、自動ドアをくぐる。


ではでは、とさっそく柚子ソーダアイスを頬張る。


美味しい〜!


想像通りの味なのだが、この気温でのアイスはやはり美味しい。


しゃりしゃりと食べながら、母におおつかい完了の連絡をし、帰路へとつく。



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