誠を掲げる武士
通り過ぎる景色は、もう本当に純日本を思わせるものばかりで。
加えて、前を歩く人の格好も年代を感じる。
まるで、違う時代にきたみたいだ。
すると、前の人物がある部屋の障子の前で立ち止まった。
「連れてきたぜ。」
「ああ、入ってくれ。」
ガラリと乱暴に開けた着物男性が、振り返り私を見つめる。
うわ、さっきまで逆光とかで分からんかったけど、この人めっちゃイケメン…。
歌舞伎役者みたいな、スッとした顔付きのイケメン。
ジーっと見惚れていると、
「チッ、早く入れ。」
眉間にグッと皺が入り、背中を強く押される。
「うわっ…!」
おっとっとと覚束ない足取りで部屋に強制的に入らされた。
そして、その正面に座っていたのは、大きな体を持ち、どっかりと威厳ある雰囲気を感じさせるのに、表情が柔らかな男性だった。
しかしここでも、まさかの着物姿。
…何でまた着物…?
「まあ、どうぞお座りなさい。」
「あ、はい。失礼いたします。」
状況が飲み込めないまま、目の前の男性に促され、部屋の中心に腰を下ろした。
この部屋にいるのは、私と目の前の男性、そして先程のイケメンが背後に。
さて、今からこの状況を説明してもらえるのだろうか。