誠を掲げる武士
───ボンッッッ!!!!!!
一瞬のうちに、身体中に強い衝撃を感じた。
そして次の時には、身体のいたるところが轟々と燃え盛る火を、直接浴びているかのように熱くなっていた。
遠くの方で、何かの音がしているのが聞こえる。
一体、自分たちはどうなってしまっているのだろう。
腕の中にいる子どもは、先程からピクリともしない。
身体を起こして確認したいけれども、鉛のように重くて、身体が動かせない。
視線だけ下げて確認すると、子どもは目を瞑っている。
特に大きな怪我もなさそうだ。
…しかし、視線を下げたことにより、目に入った光景に、自分のいたるところから血が出ていることがわかった。
そう気づいた瞬間、様々なことが理解できた。
…事故を未然に防ぐことはできなかった、ということ。
この身体の異常な熱さの原因は、トラックとの衝撃によるものであるということ。
……もしかしら、これまでかもしれない…。
止まない身体の熱さが、激痛へと変わってきた。
家族の顔が頭をよぎる。
…みんな、ごめん…。
もしかしたら…私の人生、ここまでかもしれへん──。
霞みはじめた視界の中で、赤いものが点滅している。
──ああ、どうか、またもう一度、家族の顔をこの目で見れますように…。
それから、私は、必死に開けていた重たい瞼を、ついに、閉じてしまったのであった。