誠を掲げる武士
「失礼いたします。お呼び致しました。」
「ああ、入ってくれ。」
障子の向こうから返事がくると、さっと障子を配下の者が開ける。
「よう。
お帰り、“かっちゃん”」
「おお、こんな時間にすまんな、“トシ”」
俺は開けられた障子を潜り、近藤さんの右横に腰を下ろした。
配下の者が中に入り、障子を閉めた瞬間、
「で、珍妙な拾いモンっていうのは、これかあ?」
ちらりと視線を動かし、部屋の中央に敷かれた布団を見る。
そこには、眠っている珍妙な拾いモン…“女”が眠っている。
「いやあ、それがなあ…。」
と、つらつらと連れ帰ってくるに至った経緯を話し出した。
その内容は、こんなものだった。
今晩、彼は一人で静かに呑みに行っていた。
その帰り道、酔っ払い一人で歩いてたら、何かに蹴つまずいてしまった。
いつものように犬猫だろうかと思い、よくよく覗いたら、女子であった。
何でこんな道端に女子が倒れているのだろうかと不思議に思ったが、流石に若い女子を見なかったことには出来ず、ここに連れ帰ってきた。
──という経緯らしい。