誠を掲げる武士
「はあ…かっちゃんよお、この間言ったよなあ、もう拾いモンはしねえって。」
そうなのだ、彼は人が良すぎて、困っているモノを見つけてしまうと、何でもかんでも連れ帰ってきてしまう。
犬猫はよくあることなのだが、この間なんかは赤ん坊を見つけて連れ帰ってきた。
俺がどれだけ里親を探すのに苦労したか…。
だから金輪際、困っているモンがあっても、連れ帰ってくるなという約束をしたのだ。
それなのに、赤ん坊の次は女子とは…。
この人は、その約束を忘れてしまっていたのだろうか。
はあ、と大きな溜息が溢れる。
「いやあ、わかっている覚えているんだよ!
ただ、女子供はどうもそういう訳にはいかずだなあ…。
……うーん、それになあ。この女子の身なりだがな…」
そう言って、かっちゃんはぺらりと布団を捲った。
「──なんだあ、こいつぁ…。」
女は、見たこともねえ異国の服を見に纏っているではないか。
「何処の国のモンだ。」
静かに片膝を立て、腰にある“モノ”へと手を掛ける。
「おい、やめろトシ。
異国の女子だとしても、女子供に手を出す武士は、低俗だぞ。」
ギラリと睨まれ、全身に緊張が走った。
「…チッ」