誠を掲げる武士
第2章
「──…んっ…。」
意識が夢から醒め、閉じている瞼から薄い光が入ってくる。
遠くの方で鳥のさえずりが聞こえてきて、この光が朝陽が昇っていることを気付かせる。
私は重い瞼を擦り、ぼんやりとした視界を明らかにしていく。
最初に目に入ったのは、木材の天井。
…あれ…自分の部屋の天井てこんなんやったけ…?
まだ、寝起きで意識が朦朧としているのだろう。
よりゴシゴシと目を擦り、寝ている状態から体を起こす。
「えっ…?」
視界に映るのは、自分な部屋でも家の一室でも、親族の家でもなんでもない、全く知らない部屋。
…しかも、ザ・木造建築だ。
目の前に開け放たれている障子の向こうには、縁側と太陽の光を燦々と浴びる庭が広がる。
「…ここ、どこなん…?」
いやまず、自分は何故今ここにいるのだろう。
昨日は何が起きた…?
朝から大学に行き講義を夕方まで受けた。
そして、昨日はアルバイトがお休みだったから、そのまま寄り道もせず家まで帰った。
──いや、その途中で、私は……事故に遭った。
そして…そこからの記憶がない。
というかっ…!!
「怪我っ!」
自分は事故に遭った時、今までしたこともない体の痛みを全身に感じ、体から血が出ていた。
急いで布団を捲り、この目で確認する。