君に届くまで。
*愛し君*




待ち合わせの時間を少し過ぎた頃、
彼女はやって来た。


マフラーからのぞく頬をほんのり紅くして。


「....遅い。」


俺がそう言うと、彼女は少し瞳を見開いた後


「....ごめんね。」と言った。


「事故とか何かあったのかって心配した。」


「.....ごめん。」とまた謝る彼女。


「ま、何もなかったみたいで安心したよ。」


俺はそう言って笑ってみせた。



そして、俺は彼女の手をとって歩き始めた。


_握った彼女の手は相変わらず冷えていた。



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