君に届くまで。




「...なぁ」


俺はもう一度、自分のポケットを探る。

やっぱり、ポケットには何も入ってなかった。


そんな俺を見て彼女は言った。


「ねぇ、ちょっと待っててくれる?」


俺は黙って頷いた。



すると彼女は家に入り、すぐに戻ってきた。


その手には、俺のずっと探していたモノをつけて。



「.....な.....んで?」


「...........」


「....なんで......それ!」



ひとり意味がわからず、焦る俺の前に来た彼女は
優しく微笑んでいて、でも、その瞳は揺れていた。



「........これ....ありがとう。」


そう彼女はうすピンクの手袋をした
手を少し、上げて言った。



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