君に届くまで。




「....ずっと......待ってたの。」


そう溢れる涙を溜めることなく、
俺を見つめて彼女は言った。


「.......うん。」


「.....ずっと、ずっと、あなたを待ってた。」


「.....ごめん。」


「...........でも、あなたは私に会いに来てくれた。
こうして今、私の....私の前にいる。」


「.........っ..」


「....私に会いに来てくれて…ありがとう。
....手袋も....ありがとう。
....今まで、隣に..側にいてくれて...ありがとう。」



__そうだ。俺はずっと、探してたんだ。

渡せなかったあの手袋を。

それでも見つからなかった。

だけど、それはもう彼女の手元にある。





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