見えない異変
救急隊員はどこかに連絡をした後、こう言った。

申し訳ありませんが、私たちは戻らなくてはいけません。

今、警察に連絡しました。

もう少ししたら来ると思いますので、探してもらって下さい。

あっ、はい。

そんな間抜けた返答しかできなかった。

それくらい私は焦っていた。

いつの間にか救急隊員はいなくなっていた。

帰ったことにさえ気がつかなかった。

そう言えば警察が来ると言ってた。

時計を見た。

まだ来ない。

この間に美帆は車に飛び込むんじゃないだろうか。

マンションから飛び降りようとしてるんじゃないだろうか。

どこか遠くに行ってしまってるかもしれない。

不安はどんどん増していった。

時計を見た。

まだ1分も経ってない。

どうしよう。

私のせいだ。

もし美帆に何かあったら私のせいだ。

親友なのに。

失いたくない。
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