見えない異変
まさか、美帆が…美帆が全部消したんだろうか?

けれど、なぜそんなことを?

ふと顔を上げると、警察が困ったように突っ立っていた。

もう言うしかない。

警察に撮ったはずの美帆の写真が1枚もないことを告げた。

すると、それまでやる気のなかった警官がはじめて真顔になった。

胸騒ぎがした。

警官は静かに言った。

もしかして加藤美帆さんははじめからいないのではないですか?

一瞬、意味が分からなかった。

ああ、もしかして警官は私を疑っているのか。

私、嘘なんてついてません。

確かに写真はないし、美帆はどこかに行ってしまってるけど、でも、ほら、これ。

そして、私はスマホに付いていたストラップを見せた。

それは美帆がお土産にくれたものだった。

しかし、警官の顔は曇ったままで、ゆっくり言いなだめるように言った。

これは加藤さんが存在するという証明にはなりませんよ。
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