見えない異変
ただ、その一方で美帆の恐怖の対象を知りたくてうずうずしていたのも確かだった。

美帆は一体、何に怯えているのだろう。

私の腕に虫の幻覚でも見ているのだろうか。

美帆には私の手が血だらけに見えているのかもしれない。

それとも、私の腕がエイリアンの腕のようだというのか。

私はこの不気味で奇妙な状況をどこか楽しんでいた。

恐怖すら楽しいと感じていた。

それにしても、美帆は何を“見ているのか”やはり気になる。

けれど、それを知る術はあまりなさそうだ。

ここは私の家であり、ここには私と美帆しかいなかった。

つまり、私が恐怖の対象を“見る”ことができない以上、美帆に聞くしかないのだ。

けれど、美帆は未だパニックを起こしたままだ。
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