見えない異変
けれど、そんなことは分かっていた。

私の腕は何の変哲もない。

そんなことは自明だった。

それなのに、美帆が怯えたりするから。

なんだか美帆に対する怒りが出てきた。

と同時に、美帆が心配になった。

美帆は未だ私の腕に怯えている。

おそらく幻覚を見ているのだろう。

病院に連れて行こう。

私にできることはそれくらいしかない。

けれど、どうやって連れて行けばいいのか。

今の美帆を私が到底連れていけるとは思えなかった。

仕方がない。

私は119番に電話した。

こんな内容で救急車を呼んでしまって申し訳なかった。
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