その男、危険につき ~BGM アラフォー懐かしver~
夜明けのブレス
その日は仕事にならなかった。
砂利を踏みしめながら、境内の奥へと向かう。

比較的小さな神社なので、周りが一帯見渡せる。
男はまだ来てはいないようだった。

女は煙草を取りだし、火をつけた。

煙を吐き出しながら深呼吸する。

じゃり、と靴音がして振り返ると
帽子を目深にかぶった男性らしき人影が
鳥居をくぐってくるのが見えた。


男は迷いもなくまっすぐに
こちらへと向かってくる。
いくら他に人影が無いからといえ、
その様子は女の容姿を知っていたとしか、
思えない印象であった。


女はそっと境内の横の、石段の方へ歩き出した。

男もこちらへとついてくる。


『どうも。悪かったね、何か』
安堵の表情で男が声をかけた。


『いえ…』

と、女は返事をしつつも横目で
二人の位置関係を気にしていた。

『明日までに要り用なんでね、
これで全て揃っ……。』

微妙に男が笑顔を浮かべたそのとき



女は思いきり、男の背中を押した。
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