その男、危険につき ~BGM アラフォー懐かしver~
もっと、あなたを知りたくて
トゥルルルル
『はい』
トゥル…
『お待たせいたしました』
トゥルルルル…
『コールセンター、お客様相談室でございます』
何十と列になり連なっている、
デスクの電話のコールが鳴り響いている。
皆が口々にマニュアルを口にしながら
受話器の向こう側へ耳を傾ける。
大抵は、百貨店へのクレームだ。
お手洗いの場所がわかりにくい、
カタログギフトの写真の
ちょっとした印刷の違い、
というような小さな対応がほとんどである。
最終的に所長が面談対応しなければならない
大きな事例もあるが、滅多にない。
この日も、鬱々とした人々の気持ちを聞きながら淡々と応対を繰り返す、
そんな日常、のはずだった。