その男、危険につき ~BGM アラフォー懐かしver~
嵐の素顔
トゥルルルル…
『…さん!』
『鳴ってますよ!コール』
同僚の声にハッと我にかえると、
はじかれたように通話ボタンを押した。
『大変お待たせいたしました。』
嫌な予感がしている。
『もしもし。
そろそろ渡してはもらえませんかねぇ。
僕が手に入れるはずだったんだ。』
あの男の声だった。
やはり見られていたのか。
あの時、つい盗んでしまったポーチ。
しかし、たまたまだ。
『存じ上げませんが、どういったご用件でしょうか。』
『…もう時間が無いんだ。取りに行きますよ。』
『えっ?』
思わず問い返すと、通話は切れた。
女は思った。
もう限界だ、男はきっと目の前に現れる。
借金でも抱えて焦っているのだろうか?
どこでどう知られたのかはわからないが
あの落とし物の中身を知り、
自分に目星を付けたのかも知れない。
多少リスクはあるが、放っておく訳もいかない。
覚悟を決めよう。
女は小さく息をついた。