王子様は13歳
「何? 帰ったらさみしい?」


私が冗談交じりにそう言うと、留貴は、「別に」とだけ言って冷蔵庫で向かった。


「あ、テレビ見てもいい? 好きなお笑い番組やってる時間だから」


「好きにすれば」


とだけ、言う。
そのあと留貴はカフェオレを私に持ってきてくれた。


「ありがとー。 そいえばさ、留貴は美保ちゃんの事が好きなの?」


「へ?」


「いや、だって仲良いじゃん」


「そんなんじゃないよ、ただの友達」


友達…ねえ。
そんな風には見えなかったんだけどな。


「留貴に彼女が出来たら…私、さみしいかも」


「え?」


「美保ちゃんは好きだけど、やっぱ寂しいかも」


留貴はふっと笑った。


「なにそれ。 まどか、俺の事好きなの?」


……へ?


「何いってんの! 弟としてって事だよ!」


「あ、そー」


ニコニコ笑う留貴を、怪訝な顔で見つめていた。
しばらくした後、おばさんが帰ってきたので、私は自分の家に帰る事にした。


「…暑い」


切実にエアコンが欲しい。
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