王子様は13歳
多川さんが、私の事を?
す、好きって?
「あ、ありえない」
ぶつぶつと独り言を言う。
「なに。 ありえないって」
目の前を見ると、留貴の顔。
「ぎゃ!!」
「なんだよ」
ここは、私の家?
そっか。帰ってきたのか、私。
考え事してて、帰って来たことにも事にも気がつかなかった。
玄関で靴も脱がないままブツブツ言ってる私はさぞ不気味だった事だろう。
「…てか、留貴はなんでうちの家に?」
「うちの両親、今日も遅くなるっていうから夕飯食べに来たんだよ」
「あ、そうか。 ごめんね、仕事遅くなっちゃって」
うちの家は基本的に家族が揃ってから食べるのだ。
靴の様子からすると、お父さんもお母さんも帰ってきてるみたいだし。
私待ちか。
「今日の夕飯な~にかな~」
と、靴を脱ぐ。
リビングに向かおうとしたら、留貴に腕をつかまれた。
「なに? 留貴」
「なんかあったでしょ?」
…ギクリ。
目が泳いでしまい、目線はあさっての方向に。
な、なんで分かるんだろう。