王子様は13歳
週末。私は留貴と美保ちゃんと一緒に待ち合わせ場所に向かっていた。


「ごめんね、美保ちゃんまで誘っちゃって…」


「いえ! 遊園地大好きだからうれしいです!」


と、ニコッと笑って言ってくれた。
遊園地の入り口まで行くと、多川さんが小さく手を振っていた。


「あの人?」


と、留貴が言う。
私が頷くと、留貴はただ、ふーんと呟いた。


「こんにちは、多川さん。 お待たせいたしました!」


「いや、さっき来たばかりだから」


「本当ですか? 良かったです! あ、えーと…この子が前に話してた留貴です。 この女の子が美保ちゃん」


「はじめまして。 多川です。 今日はよろしくね」


多川さんはさわやかに笑って挨拶して、美保ちゃんもさわやかに挨拶していた。


留貴はというと…


「よろしくお願いします」


と、無表情で言っていた。


もっと心こめて!留貴!!


「じゃあいこっか?」


多川さんは、あんまり気にしてない様子だったから良かった、と胸を撫で下ろした。


「ちょっとー、留貴! もうちょっと愛想よくしてよー」


「いつも俺、こんな感じじゃん」


「そうだけどー! 私の友達とかに会うときはいっつも爽やかーに挨拶してくれるじゃん! あんな感じで…」


「だって、あいつは友達じゃないでしょ?」


「あ、あいつとか言っちゃだめ!」


なんか、今日の留貴は変!
いつもは礼儀正しいのに~!
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