王子様は13歳
「留貴くんて、すごい綺麗な顔してるよね」


と、多川さんはニコニコと、そう私に話してくれた。
留貴を褒めてくれるのは嬉しいけど、当の留貴は多川さんに興味なさげっていうか…。


いや、あるのか?
ってカンジで、微妙な態度。


「美保ちゃんも可愛いし、お似合いだよね」


「あはは。 そうですね」


確かに、二人はお似合いだよな~。
可愛い中学生カップルっていうか…。


私と留貴じゃ、姉と弟だもんね。


…て、あれ?
ちがうちがう!


留貴と自分を例えてどーすんの!


「まどか」


と、留貴の声。
私はビクリとして、留貴の方を見る。


「アイス買って」


「はい?」


ア、アイス?
いや、アイスはどうでもいいんだけど。


「自分で買いなよ」


「なんで? いつも買ってくれるじゃん」


買わないよ!
いつも自分で買ってるじゃん!


留貴とふたりで売店に向かって、留貴に抗議する。


「今日の留貴、いつもと違う!」


「このほうが、“弟”っぽでしょ」


「いつもどおりでいいのに」


「いつもどおりにしたら、俺がいないとなんもできない“弟に依存の神崎さん”って印象つけられるよ? それでいいの?」


…よくないけど。
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