王子様は13歳
「きゃー!おいしそーう!」


きゃっきゃっ、とはしゃぐ。
思いもよらなかったので、余計に。


「母さんが、もしかしたらまどかが来るんじゃないかって言って、買ってきてくれたんだよ」


「うそー! おばさんにありがとーって言っておいて!」


私は手を合わして、いただきます、といったあと、がっついた。


「んまー!!」


あ、なんか幸せ感じるー。
なんてうっとりしていた。


「俺、宿題あるから、テレビ見るなり好きにしといて」


「えー。 偉いねえ。 私、宿題まともにやった事ないよ?」


ガトーショコラにかぶりつきながら喋る。


「やらなきゃいけない事は、ちゃんとやらないと。 それが社会のルールでしょ?」


「ま、そうだね。 大人も子供もね。」


「頑張れば、早く大人になれるかな」


そう呟いた留貴。


「え? 留貴、大人になりたいの?」


「当たり前じゃん」


「えー。 いいじゃん、子供のままで」


「大人のまどかには分んないよ」


と、寂しそうな声で言った。
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