私ノ夢物語〜短編集〜
沖田side
月に照らされて,美しい夜桜が儚く散る姿を見ながら僕は思う。
でも,僕はもう『人間』じゃない。
今の僕は『羅刹』で,月が太陽の変わりになり,太陽が月の変わり。
そして,朝方が黄昏で,黄昏が朝方。
普通に暮らしていた時とは起床時間も,活動時間も,就寝時間も反対になっている。
だから,近藤さんや幹部の皆が起きている時間は僕は寝ている。
僕が起きている時間は,羅刹の隊士や羅刹になった山南さん,平助,遅くまで仕事をしている土方さんと夜の巡察している組と舞花ちゃんが起きている。
でも今はその時に無かった力や違う所があるし,衝動もある。
その時に無かった力は鬼人の如く力が手に入る。
そして,さっき言った通りに起床時間等も反対。
でも,これの代償はちゃんとある。
それは…『吸血衝動』だ。
これは,化け物に変化するとでも言っても過言では無い。
その位酷いんだから。
燃える様な真っ赤な瞳に,白く染まった髪になったら羅刹になる。