私ノ夢物語〜短編集〜
腕から血が次々と出て来てその血を舐める。
血を求めるこの衝動が僕は嫌いだ。
人を傷付けたり,酷い場合は人を殺めて化け物みたいに狂うんだ。
吸血衝動が無い完璧な羅刹なんてそうそう居ない。
まだ,失敗はしてないから良いけど。
そして,正気を取り戻していると舞花ちゃんは僕に微笑んで
「大丈夫ですか?…ご飯は冷めてしまったのですけどね」
と話しかけてくれた。
だから,僕も笑って
「大丈夫だよ」
そう言って返した。
「ふふっ…どうします?勿体無いですけど,変えてきます?」
「ううん,食べるから置いといて良いよ」
「でも,そろそろ朝ですよ?」
「……だから気怠かったんだね」
「ある程度,食べてから眠って下さいね?」
少し首を傾げているその姿が可愛く見えるのは,重症なのだろうか?
「うん,分かった」
もう,色恋なんかしないって思ってたのにね……
君を想うと死ぬのが怖くなる。
僕は…こんなにも変わってしまったのか……