私ノ夢物語〜短編集〜
僕の愛刀の『加州清光』を静かに抜く。
「……清光,最後まで僕に着いて来てくれる?」
喋りかけても,当然の如く返事は無い。
返事の代わりに清光の刃が輝く。
『当たり前だ』と言うように光を放つ。
「クスッ…流石,僕の刀だね」
清光に微笑みながら話す。
僕は晒で手が刀から離れないように巻き付けて,刀の柄に結わえつけた。
「っ…ゲホッゲホッ……」
口元に手を置くと血が付く。
更に指と指の間に滴り落ちる。
地面を見て,自分の血を見る。
大凡これが最後なのだろうと思いながら,僕は,元気に笑う舞花ちゃんを思い出す。
『愛してる』位,言っとけば良かったかもなぁ…
僕は新政府軍の奴等の行く道を塞ぐように立った。
「何者だ!!」
「我等の道を塞ぐとは……殺される覚悟は出来てるのだろうな?」
「…それは君達の方だよ」
「何!?」
「ええい,やっちまえ!!」
パァンッ!
僕は銃の玉を受けて,よろけた。
「このまま,やっちまえ!!」