私ノ夢物語〜短編集〜
沖田side
僕は,なんとか生き永らえた。
労咳は血は吐かなくなったけど,咳が続いている。
今は舞花ちゃんと共に僕の思い出の場所に訪れていた。
「……懐かしいなぁ」
目を細めながら,ぽつりと呟いた。
僕の小さい頃の思い出と幹部の皆との思い出が蘇る。
甘えん坊で泣いていた僕は弱かった。
「総司さん,ここは?」
「試衛館って言って,近藤さんが継いでいた道場だよ…そして皆との思い出が沢山詰まっている所」
目の前にある建物を見据えて,微笑みながら言う。
「皆って,幹部の皆さんですか?」
「うん,そうだよ」
「ここで,皆さんと住んでいたのですか?」
「うん…っていっても左之さんや新八さん,平助や一君,山南さんは居候だけどね」
「へぇ…」
「少し,思い出話をしようか」