私ノ夢物語〜短編集〜
「ここで,皆さんとの思い出が詰まっているんですか?」
「うん…今となったら凄く忘れられない位,良い思い出かな……いや,夢…と言った方が良いかな」
視線を下に向けた。
「……」
「僕と姉はね,小さい頃に父と母が死んで行く宛が無いからどうしようと思ってたら近藤さんに出会ってここに来たんだ」
「お姉さんがいたんですか?」
「うん,ミツ姉さんって言うんだけどね,土方さんに想いを寄せていて,土方さんも姉さんに想いを寄せていたんだ」
「…土方さんが?」
「うん,あの土方さんが想いを寄せてたんだ…だけど,浪士組に入る時にミツ姉さんは泣きながらも僕達を見送ってくれたんだ」
「それから,僕は連絡を取ってない……だけど亡くなる時はずっと傍に居たんだ…ってミツ姉さんの話じゃないってば!」
「あ,そうですね」
お互い,笑ってしまった。