大魔法使いの孫




 「お兄ちゃんが作ってくれたのか。とても美味しい。家庭の味だな」



 尚は懐かしむようにそう言った



 その顔はどこか切なげで…悲しそうだった



 「尚は?お母さんとか…」


 聞いてはいけないような気がした


 けど、なんか知りたかった



 「俺、家出したんだ」


 尚の顔はいつもとは違って見えた


 「なんで家出?」


 「家が…家系が嫌いになったんだ」


 「家系…?」


 「あぁ。なんの家系かは今は言えない」


 今はって事は…いつか教えてくれるのかな?


 

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