大魔法使いの孫



 今からするのはとても危険なこと


 もしかしたら死ぬかもしれない


 …最後に、最後に尚に伝えたい


 「尚…!!」


 「なんだ、茜か!?どうしたっ??」


 尚は屋上で一人で食べていた


 いきなり現れたアタシを見て、かなり驚いている様子…(笑)


 「あのね…よく聞いてね!」


 「あぁ…?」


 「初めて尚と会ったのは化学室だったよね…。その時の尚ってほんと無愛想で感じ悪くて(笑)」


 「……ケンカ売ってるのか??」



 「けど、絡んでみると尚は優しい人だって分かった。優しく微笑む顔も、匂いも、全て…全て好きだった」


 「あか…ね?」


 尋常じゃないと悟ったのか、尚は少し心配していた


 「尚、アタシ今まで隠していたことがあるの」


 「隠していたこと…?」


 「…うん。アタシ、白魔法使いなんだ。ディアンの孫、それがアタシなんだ」


 最後だもん


 後悔しないように、伝えておきたい


 「白魔法使いのディアンの孫…!?」


 「アタシ、元は人間界にいてさ。中二の頃、この魔法界に来たの。きっかけは人間界の友達が殺られそうになってね…。それで、アタシ…大魔法使いになろうって決意したの」


 「…待って、頭がついていかねぇ…」


 「今まで、隠しててごめん!今日、ニュースを見たの。それで…アタシ人間界に行く。仲間を助ける」


 「はぁ!?人間界にって…行くには危険を伴う、死ぬことだってある。向こうで無許可で魔法を使ったら、どんなペナルティーがあるかも分からねー…!」



 尚…


 「茜様!こんなところに居らした…もう準備は整っております。では、向かいましょう!軍も揃えておきました」


 アルリン…


 「えっ?お兄さんが…」


 「この人、お兄さんじゃないの。嘘ついててごめん」




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