大魔法使いの孫



 【side茜】


 とても良い天気な朝


 こんな日はいつも心が踊る


 雨の日よりは晴れの日の方が好きってのは、人間普通の感情なのかもしれない


 まぁ、雨の日の方が好きっていう人もいるけどね



 「茜〜!まだー??」

 
 「あ、今行くよー!」


 アタシはいつも学校に一緒に行く"ちーちゃん"こと大野 千里(おおの ちさと)の待つ、一階へ向かった


 「お待たせ〜!」


 「遅いっ!(笑)」


 「じゃあ、行ってきまーす!」


 家の中に大きな声を響かせて、外へでた


 家の中から前みたいに返事が戻ってくることはない


 お父さんとお母さんは1年前、この世を去ってしまった


 その日アタシは家でお留守番をしていて助かったが、お出かけに行っていたお父さん達は玉突き事故に巻き込まれ、死んでしまった


 近くに身内も知り合いもおらず、皆がまだ中一の見知らぬ子を引き取ることを拒んだ


 アタシはそんな人達のところに無理して行きたくもなかったので、一人でこの家に住むことを決意したってわけ





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