On Your Mark
航空機で移動し始めて二時間が経とうとしていた。



レイが操縦し、僕とイビルが航空機の左右である西と東を、後ろにあたる南をソラが監視しながらの飛行は、当たり前だが快適と言えるはずがなかった。

常に緊張の糸が張り詰め、僕たちは一言も言葉を交わさずにただ目を凝らすしかない。

僕たちは訓練を受けているからまだしも、ソラにとってこの二時間は辛いだろう。

いつまで続くのか分からない、ゴールの見えないマラソンのようなものだ。


「どうする?

一度、降りて休もうか」


「いや、あと二時間も掛からない。

辛いけど、このまま飛行を続けよう」


「このまま見つからずにいけばいいけどな」


そうならないことを願っている。



しかし、ペスチニア軍はひっきりなしにこちらを探しているだろう。

本部がソラに対してどれだけの力を注ぎ込んでいるかが不透明で、それによって軍がこちらに向ける勢力が全くの未知数だ。
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