On Your Mark
「二人で持ったほうが早いだろ」


ようやく機銃を一丁捨て、すぐさまもう一丁捨てようとする。


「ちっ、八時方向三機だ。

上から二機、下から一機」


「了解。

しっかり掴まってろよ」


レイがギアを上げたまま旋回し、僕たちに激しい重力が襲い掛かってきた。

そのなかで機銃を捨てるという行為は至難の技で、ただその重力に耐えるかしかなかった。


「撃ってくるのか」


「いや、きっと、ソラを生け捕りにしたいはずだから、撃ってきても直接機体には撃ってこないと思う」


「けど、主翼は狙ってくる」


「結局、撃ってくるんじゃねえか」


右へ左へと旋回しながらも、どうにか北へと進行していく。

幸いにもまだ三機とも、一発もこちらに撃ってはこない。

しかし、捕まるのは時間の問題だった。


「くそ、もう少しなんだ。

もう少しなのに」


「イビル、お前が諦めちゃ駄目」


「そうだぜ。

俺の飛行技術をみくびるんじゃねえ」


「みんな・・・ごめんよ。

こんなこと、無理だったんだ」


下を向き、力のない言葉をイビルが発する。
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