On Your Mark
そんな姿を見て、僕は居ても立ってもいられなく思わずイビルを思い切り殴った。


「ふざけんじゃねえ。

俺たちはお前を信じてここまで来たんだ。

そして、今も信じてんだよ」


殴られた頬に手を当てながらも、定まらない視線には力が無かった。



右肩に温もりを感じ、振り向くと椅子の下に潜り込ませたソラがそこに立っていた。


「・・・ソラ」


イビルの頬を優しく撫で、前を向く。


「やばい、前方に大きな山だ。

高過ぎて頂上が見えねえし、横も広がり過ぎて見えねえ」


地図の端だ。



ついに僕たちは世界の淵、いや絶望の淵へと来てしまったのだ。



もう逃げ道など・・・ない。


「ここだ」


呟いたイビルの目には力が戻り、操縦席へと移動し、何かを探し始めた。
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