On Your Mark
「あっ」


前方に微かだが光が見えた。



その光は見る見るうちに大きくなり、僕たちの目の前に広がり、そして・・・

僕たちは光の中へと入った。


「・・・すげえ」


「これが・・・空」


「これが・・・世界」


空は果てしなく広く、あまりにも美しい青色だった。



空だけじゃない。



大地もあまりにも美しい緑色で、僕たちの存在がちっぽけに思えてしまう。



何もかもが、今まで見たことのない美しさに囲まれている。



鼻を劈くような匂いもしなければ、肌に纏わりつくような不快な重さ。



それが空気だと思っていた。



だけど、深呼吸をしてみる。



空気が甘く、自然の香り、肌をすり抜けるような心地よい軽さ。


「おい、あれは何だよ」


「あれは・・・もしかしたら、ウミかもしれない」


「ウミ?」


「ようは水だね」


「水に色があるのかよ」


「空とは違った美しい青色だな」


僕たちは完全にこの世界に魅了された。

そして、今までの世界がどれだけちっぽけな世界だったと思い知った。
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