On Your Mark
「さて・・・」


イビルが上半身を起こし、大きくため息をつく。

僕たちも同じように上半身を起こし、三人とも同じところに視線を送る。


「お別れだな」


三人でソラの手を取り、空を見上げた。

今にも泣きそうな表情のソラを見て、僕たちはふっと笑い、それぞれが両手でソラの手を掴んだ。


「何、泣きそうな顔してんだよ」


「そうだよ、ここだったら飛べるよ」


「行くんだ。

俺たちに空に舞い上がる、その姿を見せてくれ」


言葉は通じない。



それでも、僕たちの心は一つだった。



泣きながらソラは抱きついて、僕たちはそれぞれがしっかりとそれに応えた。



そして


「さよなら」


この世界に相応しいほどの美しく真っ白な羽根を大きく広げ、ソラは舞い上がった。



あっという間に高く舞い上がり、遠くまで飛び去り、小さな白い点になっても、僕たちはソラを見続けた。
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