On Your Mark

「あっ」


頭の中に知りたくもない情報が流れてくる。

ここ一週間はペスチニアもユーシチールも動きがなかったが、どうやら遂に動くようだった。



初めて頭の中に知りたくもない情報が流れてくるようになったのは、まだ言葉もままならない五歳のときだった。



そのことが周りに知られ、僕は特別学校に通い、ひたすら戦争のことを勉強させられた。

そして、これが僕の『能力』だと教えられたのは、学校を卒業する一ヶ月前だった。

と同時に軍隊への入隊も命ぜられ、人を殺すことに抵抗を覚えていた僕は、人に見つからないように涙を流したものだ。


「イビル、ごめん。

ちょっと、散歩に行ってくる」


返事も聞かずに、目の前にある窓から勢いよく飛び出し、狭い校庭を横切った。