もしも明日もあったなら。
帰り道。
雨宮君が一方的に話すのを私は黙って聞いていた。
あ、もちろん相槌などは打つ。
「あ、せや。実陽ちゃん、明日委員会あるんやっけ?」
「うん、あるよ!」
「ほんなら、明日も帰ろ!」
「う…うん?いいよ?」
何で明日の約束をするんだろう。
「おっしゃ、おーきに!」
「あはは、逆に誘ってくれてありがとうね~」
そんな他愛もない話をしながら歩いていた。
「あ、実陽ちゃんってこのアーティスト好き?」
と、取り出されたのは一枚のCD。
なんとそれは私が欲しがっていたCDだった。
「え、あ、うん!すごい好き!!持ってるの?いいなー!」
つい興奮して早口になってしまった。
「そんな好きなんか?ほんなら、明日貸してあげるわ!」
今日じゃないんだ、というのは伏せておいた。
仮にも借りる側だしね。
にしても雨宮君、優しいな。