もしも明日もあったなら。
日常.12
次の日の昼。
急に女子が片方の扉へ群がっている。
ゆかりが不機嫌そうな顔をして、
「なにあれ」
と一言。
「わかんない…」
「むしろ誰だよ」
いや、わからん。
騒ぎ始めている。
「どうしたのー?」
「誰に用ー?」
「ねぇ、いつ遊べる?」
「ねー」
「聞いてる?雨宮君ってばぁー」
「「雨宮…?」」
その瞬間私とゆかりは声が合わさった。
バッと顔を見合わせるとお互い怪訝な顔をしていた。
そんな女子の黄色い歓声の中、一際明るい関西弁が私の耳に響いた。
「いやー、みんなすまんなぁ。今日は実陽ちゃんに用があるんやー」
あぁ…。
こんなに目立つ人だったのか…。
私の名前が雨宮君の口から出ると、女子たちの怖い視線が送られてきた。