もしも明日もあったなら。

しばらく話していた。

「おっと、もうこんな時間やな…ちょっと名残惜しいけど、そろそろ戻るわ。ゆかりちゃん、またな。それと実陽ちゃんはまた後でな」

「うん、ばいばい」

「さいならー」

雨宮君が戻っていった。

「たくさん話したねー、」

「だね。楽しかったね」

笑顔から一転、ゆかりは急に真面目な顔になった。

「実陽、ごめん。あたし隠してた事があるの」

「え…」

「あたし、好きな人いるんだ」

衝撃発言だった。
いや、そこまでではなかったけど、やっぱりか、みたいな。
だって前聞いた時には「いない」と即答されたから。

「あはは、なんかごめん」

「……」

「み、実陽?」

「何でもっと早く言ってくれなかったの、ゆかり!!しかも誰!?」

思わず早口になってしまった。

「わわわ、ごめん、まじで!!言う、言う、言うからぁ!!」

そっと耳打ちされた一言の単語。

「え……」

それは聞き慣れた一つの言葉だった。
ゆかりの顔は真っ赤になっていた。

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