もしも明日もあったなら。

*

「高梨、どうした!?」

弥生がゆかりのもとへ駆けつけ聞いた。

しかし、

「実陽が…!!どうしよう…!!!!」

ゆかりは焦っていて、『実陽』とか『どうしよう』とかしか言ってなくて、こんなに取り乱しているのは初めて見た。

「高梨、落ち着け、花咲がどうしたんだ」

駿は冷静にそう放った。
しかし駿は落ち着いて聞いているようだが、よく見ると眉間にしわが寄っていて危ない状況、というのは伝わってきた。

「ゆかり、実陽がどうしたんだ」

俺も弥生と同じことを聞いた。

「は、やと…」

「…っ」

実陽、ごめん。
多分お前の一大事なんだろうけど、今こんなにすがった目で見てくるゆかりをもう少し見てたいと思った。

しかし俺は誘惑に勝ち、

「お前がしっかりしねぇと俺らは何もできねぇ」

その言葉が耳に入ったのか、

「み、実陽と屋上近くの階段で喋ってたら実陽が急に倒れて…それでっ、あたし、運ぼうとしたけどダメで…っ」

それで、教室に走ってきたわけか。
するとそれを聞いた弥生が立ち上がり、

「東側だよな」

「うん…」

「おい、弥生!?」

駿の声を無視して弥生は東側の階段へ走っていった。

俺は、

「おい、ぺこ。俺ゆかり見てるから弥生追え」

「…あぁ、わかった」

ゆかりはまだ少し動揺して震えていた。

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