もしも明日もあったなら。

*

徐々にゆかりは落ち着きを取り戻していた。
他のクラスメートが俺を茶かしていたが、睨むと黙った。

「ゆかり。平気そうか?」

「うん…ごめん、なんか」

そう言ったゆかりの目に焦りと動揺はもう見られなかった。
ただ、心配の色だけは抜けなかったが。

「実陽、大丈夫かな…見に行きたいよ…」

ゆかりが悲しそうに言った。

「いや。弥生もぺこも行ったから平気だろう。それよりお前はあと一時間分のノートを取っておいた方がいい」

「あ、そうだね…」

ゆかりはくすっ、と微笑んだ。
遠い。文化祭まで後ちょっとだけどまだ告白できないのが辛い。

早く、早くゆかりの返事が聞きたい。
もしお前が憲由好きだったらどうしようとか悩む時もある。

だけど、憲由より先に伝えたい。

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